医療の分野


 科学も人類の幸福のために供されるのであれば、これほど素晴らしいものはない。しかし歴史が示しているように、ダイナマイトしかり、原子爆弾しかり、人類の存亡そのものまで左右する事態に陥っている。科学が全てを支配するという、おおそれた思考より脱却しなければ、神の怒りに触れ、やがて人類も滅亡への道を歩んで行くことになる。

 人間の浅はかな知識も、何の哲学もなく、ただただ技術のみの進歩だけで、人類の未来を託してよいのだろうか?神の啓示の分野を犯そうとする怖ろしい事態に直面しているのではないだろうか。

 科学技術の発展により、クローニン羊ローリーの誕生とか、分子レベルでの遺伝子操作とか、めぐるましい発達が見られるようになった。どこまで発展して行くのか、から怖ろしい。ジキル・ハイド博士じゃあるまいし、いつどこで、禁断の果実を食らう科学者が出てきても不思議ではない。

 最近科学技術の発展に伴って、産科、婦人科学の分野にも、いろいろと生命操作にも準ずる各種検査法が出来てきて、これが人類の幸せな社会秩序をも乱しかねない要素が醸し出されてきた。

 出生前検査にしても「着床前検査」にしても、「障害者の生存権を否定する検査」という、障害者団体や女性団体からの反発もあり、「障害者差別」に繋がらなければよいが。また生命予後と言う考え方から、筋ジストロフィーのうち、男性に特有で進行が早く症状が重い「ヂュシャンヌ型」を対象にするという考え方もあるが、この型の寿命も、報告によっては、まちまちで、一概に「生命予後が悪い」とはいえな状態である。

 着床前診断でも、出生前診断でも優性思想の観点から、厳粛なガイドラインが絶対必要で、特に女性に対し、他の選択肢や病気の子供を生んだ場合の生活福祉情報を提供するシステムの確立が必要である。

日本産科婦人科学会着床前診断容認
(平成10年6月)

生殖医療の論点と日本の現状



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