楽しく愉快な暮らしのために
       (健康に生きる)


今日は老人保健法による保健衛生教育ということで,30才以上の女性を対象とした方々に何かお話をするようにとのことです.老健法は一応40才以上が,その対象となっていますが女性に関しては子宮癌の検診の関係で30才以上ということになっています.皆様の御期待に添うようなお話をすることは出来ませんが,わたくしの専門の立場から少し子宮癌について少しお話をしたいと思います.

最近新聞紙上で騒がれているように日本人の平均寿命は飛躍的に延びています.

世界中のどの国よりも伸び率が急です.人間の寿命は日本人の場合女性では約80才を越え,男性でも73〜74才位です.明治の初期では人生約50年と言われておりましたから,過去約100年間に約30年以上延びたことになります.ちなみに室町,安土桃山時代は約30〜40才と言うことです.

寿命が約10年延びるのに数百年間,あるいは1000年以上もかかったのに,明治以降の100年間で

30数年も延びまた終戦後の伸び率は最高となっています.これは明治の文明開花で予防接種の普及,抗生物質の発見発明,くわえて第二次世界大戦後は,科学技術の発達に加えて,日本人も外国人に劣らず蛋白質の摂取量が飛躍的に増加してとるからです.最近の若い人たちの体位,体格の立派なことはすでに明らかなことです.外人と比べてみても遜色はありません.

又反対に終戦後長い間,結核及びその関連疾患が死亡率の第一位を占めて来ました.

しかし抗結核菌剤の発見発明で結核病による死亡が急激に低下して,最近では死亡率第一位は脳卒中,第二位は心臓血管系の病気です.

しかしこの死亡率をもう少しのぞいてみますと30〜55才の所謂壮年と言われる年代に絞ってみますと,だんぜん悪性新生物が第一位になります.癌と言われるものです.

長い人生において社会的にも,又家庭においても非常に責任のある大切な時期にあるあなたがたにとって現在のところ癌及びその関連した病気が死亡率の上で第一位にあるということに十二分の関心を寄せて頂きたいと思います.

今日は子宮癌についてお話をするわけでこざいますが,子宮癌は必ず治癒いたします.なほります.完全に治る病気なのです.ただ大切なことは予防手段がないのですから早く見つけ出すことです.早期発見が大切ですね.

図1

理由は不明ですが御所市では30才以上のご婦人の方がたの人数は非常に多いようです.奈良県全体の標準よりも約5%以上おおいようです.人数では約600人多いということです.この表の中では30才以上の女性が御所市に約12,000人いるということを記憶しておいて下さい.

図2

ところで御所市において子宮癌の検診が行われているのを御存知ですか?

この表は昭和57,58,59年の過去各3カ年間の受診者数をまとめたものです.

この表に示しております集団検診とは

日母方式とは

1年間に400人〜450人前後の方がたが受診されたことを示しています.受診率は約0.3〜0.4%となっています.

PC 3とありますのは後程御説明致しますが,子宮癌のための精密検査が必要な方です.御所市では過去3カ年間で,日母方式でPC 3が2人発見されています.

一人は

又もう一人は

またこの検診でたまたま他の病気も発見されています.この表における合併症は,集団検診の結果からだけの統計ですから非常に高率で,約15%前後で何等かの異常が見つかっております.

内容に関しては,後のスライドで説明致します.

図3

この表は昭和59年度の子宮癌検診受診者の年齢分布を示しております.30才の前半はまだ興味が無いのか少し受診率が低いですが,35〜55才の層の受診者数が多いのは当然のことと思います.

又55才以上の集団検診の受診者数はなかなかがんばっていますね.しかし何分にも全体の受診率が0.3〜0.4%では少し少な過ぎるようです.

図4

先のグラフを表にまとめたものです.

図5

もうすこし大きい集団に就いて考えてみたいと思います.この表で示しています

クラスとは,(1,2,3,4,5とありますね)パパニコロウこれは人名ですがパパニコロウの分類のことです.

子宮腟部より採取した標本を顕微鏡で検査して1〜5まで分類致します.

1,2が正常,4,5が癌,3が経過観察ということです.

普通一般には集団検診は何の自覚症状もない方が,また日母方式は何等かの自覚症状がある方が数多く受ける傾向にあります.それでもしも,なんの自覚症状の無い人が癌検診を受ければ,12,000人のうち30〜40人が精密検査が必要であることを示しています.

また何等かの自覚症状のある方が12,000人検診を受ければ200人以上の人々が精密検査を必要としていることを示しています.

図6

子宮癌検診時発見合併症名

この表からも分かるように癌のみならずいぶん色んな病気が発見されています.

図7

検診時に見つかった他の病気をグラフに表したものです.

図8

産婦人科領域の癌は大きく分けてこのようなものがあります.一部の卵巣癌を除いて95%が子宮癌で,そのまた95%が子宮頚癌です.子宮頚癌と子宮体癌はその性質が大変ことなっています.

組織学的には頚癌は扁平上皮癌ですが,体癌は腺癌です.

そこで話は特にことわらないかぎり子宮頚癌についてお話をしたいと思います.

図9

子宮癌検診はこのやうな順序で行われます.

細胞診で陽性の患者さんだけ引続きコルポスコ-プ,組織診をおこないます.組織診とは後程お見せする

鉗子で子宮腟部から少しだけ組織片を採取してそれを顕微鏡で調べます.

検査のための痛み,苦しみは全くありません.

図10

細胞採取器具

図11

細胞採取時期

図12

細胞採取方法

図13

 標本の作り方 1

図14

 標本の作り方 2

図15

 標本の作り方 3

図16

 プレパラ-トの郵送

図17

 細胞診 1

図18

 細胞診 2

図19

 細胞診 3

図20

 細胞診 4

図21

 細胞診 5

図22

 細胞診 6

図23

 細胞診 7

図24

 細胞診 8

図25

 細胞検査センター

図26

細胞検査センターの業務

図27

 細胞クラス分類と組織型

図28

 細胞診クラス分類の取り扱い

図29

 初期癌の臨床病理

図30

 組織採取器具

図31

 パンチ(器具)

図32

 円錐切除器

図33

 組織診の検体採取法

図34

 移行帯

図35

 扁平円柱上皮接合部

図36

更年期以降の移行帯

図37

 コルポスコープの臨床的意義

図38

 子宮腟部コルポスコ-プ 1

図39

 子宮腟部コルポスコ-プ 2

図40

 子宮腟部コルポスコ-プ 3

図41

子宮腟部コルポスコ-プ 4

図42

子宮腟部コルポスコ-プ 5

図43

子宮腟部コルポスコ-プ 6

図44

 子宮腟部コルポスコープ 7

図45

子宮腟部コルポスコープ 8

図46

子宮腟部組織診の目的と意義

図47

 子宮腟部組織診 1

図48

 子宮腟部組織診 2

図49

 子宮腟部組織診 3

図50

子宮癌の症状はこのスライドのごとくでございますが,初期には自覚的症状の無いのが普通です.強いて申しあげれば接触出血が一番多いようです.尿路系の症状を呈するようになりますと癌も段々と進行して3〜4期の状態にはいっています.

図51

 子宮頚癌初期の主訴

図52

子宮癌発見の端緒と臨床進行期別頻度,予後

 子宮癌の国際分類

 第0期

 第T期

 第U期

 第V期

 第W期

国際分類は診察所見によって分類されていますので,検査所見等によって実際の病気の進行と少し異なることがあります.

 この表では自覚症状が全然無い方は,集団検診でその97%がT,U期の内に発見されていますが,何等かの自覚症状があってから受診した場合T,U期以内に発見されるのは70%にすぎません.

しかも,もうすでに侵潤した癌が約30%見つかっております.またその5年治癒率は,夫々90,60%となっています.大分開きがみられます.

図53

子宮頚癌治療成績

 頚癌の治療は手術,放射線療法,抗癌剤,あるいはその組合わせによって行います.

 適応型:

 5年生存率は表に示すごとくですが,年々治癒率が上昇して来ているとともにV,W期で発見される症例が少なくなって来ております.

図54

子宮体癌治療成績

図55

 子宮筋腫発生模型図

図56

 MYOMA UTERUS

図57

UTERINE FIBROIDS SHNITT

図58

UTERINE FIBROID WITH CONTRACEPTIC RING

図59

UTERINE FIBROID

図60

UTERIN FIBROID

図61

子宮筋腫

図62

巨大筋腫

図63

巨大多発性筋腫

図64

卵巣嚢腫と子宮筋腫

図65

デルモイド嚢腫

図66

 皮様嚢腫

図67

 奨液嚢腫

図68

 繊維腫

図69

 繊維腫割面

図70

 卵巣腫瘍

図71

 外陰癌

図72

 外陰癌

図73

 子宮体癌

図74

 体癌

図75

 体癌

図76

 子宮癌(コルポスコ-プ)

図77

 子宮癌(組織検査所見)

図78

 子宮癌(細胞診)

図79

 子宮癌摘出標本

図80

 子宮癌摘出標本

図81

 子宮癌摘出標本

図82

 子宮癌摘出標本

図83

 子宮癌と卵巣充実性腫瘍

図84

 絨毛上皮腫

図85

 絨毛上皮腫

図86

 子宮癌の原因

  妊娠・分娩と子宮癌との関係

  結婚と子宮癌との関係  腺癌

  ホルモン製剤と子宮癌との関係 

 頚癌と人工妊娠中絶手術との因果関係

 子宮癌と遺伝の関係

 頚癌の予防

今までお話ししましたように子宮癌には決定的な癌の予防というものはこざいません.

しかし子宮癌に限って申し上げますと0期の癌では100%,T期,U期では97%以上治癒しています.又最近では化学療法剤に加えて,放射線治療が著しく発達し,しかも子宮頚癌の大部分を占める扁平上皮癌は放射線に対する親和性が非常に高いので,たとえW期癌でも高い治癒率を得るように

なりました.しかしながら子宮癌といえどもV,W期えと進むとT,U期のような100%近い治癒率を望むことがとうてい期待出来ません.

病気が進行すれば色々と自覚的症状も呈して,苦しみも伴って来ます.

自分の健康は自分で守らねばなりません.行政が私たちの健康を守ってくれるのではありません.医者が私たちの健康を守ってくれるのでもありません.行政や医者は,私たちが自分自身で自分の健康を守る,そのお手伝いをしてくれるにすぎません.

健康を守のは,貴女,貴女自身なのです.癌,子宮癌に就いて言えば自覚症状があってからでは遅すぎます.何の自覚症状も無い,いま,今日のこの日の一日が,子宮癌に対する興味,関心が,貴女がたの健康を守るものと確信いたします.

御声聴を感謝致します.


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